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所得とファッション誌、消費行動

togetter.com

 

これって女性誌だけじゃなくて男性誌も似たようなもので、基本的にファッション誌に記載の商品って、想定読者層の手取りに比べて随分割高だったりする。

 

ちなみに男性誌の場合はウシジマくん(天国くん編)に高い洋服買いまくる読者像が描かれていた。借金して無理して買う一般人と、実家が太い自営業とかのボンボン。

 

一度これは編プロなり出版社の方の見識も聞いてみたいところだけど、私が思ったのは

  • コメ欄で最初に指摘されているように、広告主の問題。ハイブランドなところの広告出稿が多ければ、掲載商品もそうなる。逆にユニクロやシマムラばかりが広告出稿してるような雑誌に、ハイブランドは出さなくなるだろう。
  • 所得と被服費の関係については、一応ユニクロ以外にもファストファッションという回答が世間的に一応出てはいた(死に体だが)。おそらく5万のコート以外にも、ファストファッションで揃える企画の体で1万のコートも載っていたのでは。
  • 大手の出版社社員は高給取りなので、読者層と金銭感覚が違い、5万のコートに違和感を感じない説。ファッション誌出してる大手で言うと、講談社小学館集英社、光文社、宝島社あたり?(でも実際作ってるのは編プロという反論もあるかも)
  • 乱暴に言ってしまうと、高額さこそがブランド価値の本質でもあるから。読者層の所得に合わせるのではなく、それよりも高めに設定して、キラキラ感を演出させざるをえない。
  • そもそも給与の上昇期待が低い時代がずっと続いているから、トピック主のような感覚になってしまう。逆に給与の上昇期待(未来はどんどん所得があがっていく)があれば、消費意欲があがる。
  • ただ、手取り20万だから5万のもの買えないっていうのはミスリードというか、分割で買えばいいだけな気がするし、編集部もそんな感じなのでは。(長期分割してたくさん手数料支払うのは愚かだが)
  • そもそもその2、掲載商品を見て、それを買いに行くという人は極めて少ないのではと思う。大学の頃の女友達もそんなことを言っていた。正直編集部もそういう認識なんじゃあないか。ファッション誌に載るようなやつって、雑誌の発行部数と比べると生産ロットが少な過ぎるし、そんなにそんなに買われるものではないだろう。単純計算で読者100人に1人が買うとかそんなレベルなんじゃあないか。

 

私も昔、高校~大学1年目ぐらいはファッション誌をたまに買ってみたりしていた。メンノンみたいな小ぎれいなやつとか、smartだったかポパイだったか、幾分下世話で性欲記事がちょいちょいあるやつ。

 

読者アンケート統計企画で初体験年齢やら経験人数やらを表に出すやつ。あれは童貞にとっては、それはもうキラキラしていたものだった。女性誌も似たようなもんだった気がする。ViViとかも初体験や一晩何回とか似たような企画やって、女子大生にせっせとそうした情報提供に励んでいた。

 

あとファッション誌の一つの側面として、私のようにイケてない人間に、外的価値を上昇させる装備情報の提供というのがあると思う。めちゃめちゃ下世話に言えば、イケてないアナタも素敵なファッションに身を包むとセックスできるようになりますよ、という消費喚起装置だ(大げさ)。そういう煽りは本質のひとつだろうな。とは言えユースカルチャーの大半がそうかもしれない。

 

でも、情報流通が発達し、錯覚は錯覚として看破されやすくなってしまった時代である。ハイブランドのメーカー、広告代理店、メディアにとっては随分世知辛くなっているだろうなと想像する。ITインフラ一般化前後で、最も落差がある業界のひとつはその辺じゃないか。

 

それはともかく再び当時を思い出すと、確かに掲載商品は高いものばかりで、おいそれと買えなかったわけだが、目が肥えるというか、美観が鍛えられるというと、そんなえらそうなものでもなく主観的なものなんだけど、多少なりとも「こういうのがいいな」という方向性を固めるのには役立ったような気がする。固まりすぎて、20年着てる服とかちょいちょいある。音楽と同じで、若い頃の美的感覚ってなかなか変わらないのだろうな。

 

なもんで平凡な金銭感覚を持つ当時の学生にとっての行動というと、ラグタグみたいな古着屋さんで、いいなと思ったものをちょいちょい買う程度だった。渋谷のハンズ横にあるTOWというお店をよく使っていた。ギャルソンやヤマモトヨージの古着で安い掘り出し物があった。いつも客がいないのもいいところだったが、あれでよくまだ経営が続いているものだ。もう15年は行ってないと思うが、まだ経営されているようだった。

 

 

 

ということで、togetterの記事タイトルでトピ主のツイートを読むと、確かにファッション誌けしからんなーと思いかけたものの、改めて考えてみると、そこまでevilなものでもないと思ったのだった。後年にとっての貴重な文化・風俗記録になるし。