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THE FIRST SLUM DUNK(2022日)

THE FIRST SLUM DUNKを公開8週目でようやく観てきた。

以下、ネタバレありの備忘録的感想。

THE FIRST SLUM DUNK

 

 

私とスラムダンク

  • スラムダンクは定期的に見直してるマンガの一つ。
    • と言っても、激推しというほどではなく、推しキャラもいない。箱推し。当時は流川と三井が人気だったよなー。
    • 私がちばあきお先生作品が好きというのもあるが、スラダンは必殺技とかが出てこないのがよい(と言っても黒子のバスケは未履修)
    • まあリアリズムで言うとアオアシなんかもスゴいんだけど、あれって主人公が出会うキャラに結構嫌な子(それだけ必死だから)ばかりの印象が大きくて、それであんま好きになれなかった。
    • そういう意味だとスラムダンクは、まだアマチュア特有の美しさがあるとも言えるのかもしれない。
  • しかし、学生時代バスケ部どころかチームスポーツをほぼ通ってない自分なのに、何がこんなに心を震わせるんだろうな。
    • 心を震わせると言っても、感動とか泣くとかではなく、しみじみと感じ入る不思議な読後感を受ける。
    • 皆、無心にバスケをしてるからだろうか。
    • キャラの掘り下げ具合がちょうどいいのか。
    • 各キャラの背景や過去、例えばゴリ赤木の1年のときに弱小湘北でもがくところなんか、1話や数話使って掘り下げるのではなく、結構数ページ程度だったりするので、その辺が重くなり過ぎずちょうどいいのかもしれない。
  • 見返すたび、学生時代バスケ部入ればよかったなと一瞬思ったりもするが、それはそれで別人格になってたので、どうなんだろうな。

 

 

映像と声優

  • 映像はスゴい。井上先生の絵が動いている。
  • が、普段アニメ観ないもので、そこまでありがたみは感じなかったにせよ、でもとにかくスゴいと思った。
  • 同じくTV放送されていたときのアニメ版も見てなかったので、変更されたという声優は気にならなかった。

 

 

主題

  • 原作の編集なので主題もクソもないと思うが描かれているなーと思ったのは、まずチームスポーツの美しさ。
    • 子供にはチームスポーツをさせよという短絡的な育児論もわからなくもない。
      • それが人生において決定的に重要かは人それぞれになるのでわからないが、チームスポーツ経験によってしか培えない感覚みたいなものはあると思う。
  • それと男子学生特有の荒々しいバーバリズムかな。三井と宮城の喧嘩のくだり。
    • あそこはでも、宮城が神奈川に引っ越して公園で一人バスケしているときに対戦してくれたお兄ちゃんが三井だったとして、よくない再会時に何も触れない(気づかない)のもなんか変な話だと思った。

 

主人公、宮城リョータ

  • 主人公はまさかの宮城リョータ
  • 確かにスタメン5人のうち、唯一キャラの過去があまり触れられなかった(=余白がある)のが宮城リョータだった。
    • 井上先生が元々ガードをやっていて、そのポジションの人を主人公にしたかったが、派手さがないので云々という説も目にした。
  • でも、宮城の恐怖とその克服というのはそんな響かなかったな。
  • まあそれは未経験者だからわかんないだけかも。ビッグゲーム前の緊張というもののリアルが描かれているのかも。
  • エピローグで、宮城リョータも海外挑戦というのはうーんという感じ。
  • なんかそうそう海外挑戦すると安っぽくなっちゃうかな。まあ良いボーナスかもだが、やっぱスラムダンクってあの青春の一瞬の儚さがあってこそと思うので。
    • ピンポンなんかもそうだな。ペコだけがプロになるのが良い。

 

 

直後のファーストインプレッション

  • 見終わった直後の感想としては、残念ながらパンフやディスク買うほどではなかったかなーという程度だった。
  • と言うのも、どうしてもストーリーは原作に沿ってるのでリメイク的な感動に留まってしまうんですよね。過去の優勝決定戦を観てるような感覚だった。
  • ちなみに原作で好きなシーンは、
     ・飽くなき反復練習、神宗一郎
     ・豊玉戦裏で冬IHに向けての藤間のランニング
     ・県決勝リーグ陵南対湘北での、魚住「見つからんな(キョロキョロ)」
    このあたりだが、当然ひとつもなかったw
  • それはいいんだけど、それに匹敵する個人的好みのフックになるところがなかったかも。
  • 「這い上がろう。「負けたことがある」というのが いつか大きな財産になる」の場面は好きなのでよかった。
  • なにか教訓とかダイレクトな得るものが(私には)なかったのかもしれないな。

 

 

改めての感想

  • スラムダンクって女子との青春みたいな学生生活シーンなんかが希薄なのが、かなりストイックさを感じるのかも。そこがリアルなのかもしれない。
  • そもそもスラムダンクのキャラクターって、毎日TVバラエティやYoutubeや2ちゃんまとめやTwitterやってるようなイメージが沸かない。
  • その後バガボンドなんかを描く井上先生にそういうイメージがあるからかもしれないが、結構スラムダンクも求道的な作品というのは感じる。
  • そう考えると、本作は観る禅というか、瞑想のお供的なものかもしれないな。
  • 確かに作品通して描写にどこか静謐さがあるというか、割と淡々とした描写が徹底している。音楽含め。変に感動させるオーケストレーションBGMとかが無い。
  • ともあれ、この山王戦はスポーツマンガのマスターピースだろうし、それがこんな美しい映像化されたことはとてもありがたい。
  • なにかこれから一仕事集中しなきゃいけない、というようなときに観ると気分が上がるかも。それこそ定期的にスラムダンクを見直している私が、同じように本作を再鑑賞したくなるのかも。