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佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO) リスナー大感謝祭2021 ~freedom fanfare~

有楽町東京国際フォーラム

1月11日に開催されるはずが、コロナ新規感染者激増による緊急事態宣言により、延期されていた佐久間宣行ANN0イベントが遂に改めて開催されたので参加してきた。

現在、私の職場のプロジェクトは緊急事態宣言明けで週2出社体制なのだが、ちょうど金曜が出社日だったので都合よく参加できた。

もし仕事の進捗が芳しくなかったら週末やることにして、この日はとにかく定時ですぐ上がろうかと思ったが、ちょうど定時時間に同僚に捕まり質問タイムがはじまってしまったので職場を出るのが遅れ、結構ギリギリの参戦となった。

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東京国際フォーラムAの案内板

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当日の若干枚数で入られた方もいるのだろうか



 

チケットは今回、電子チケットで、また、1月のイベント用に取ったチケットを、そのまま使えるという案内が延期決定の際に出ていた(てっきり一旦キャンセル&払い戻しで、次回公演が決まり次第チケット取り直しだと思っていたので、払い戻ししかけており、危なかった)。

あまりそうした振替公演の経験がなく、そんなことできるの?と思って、電子チケットなこともあり若干不安だったが、入場は無事にすることができた。
電子チケットということでトラブル対策用だろう、チケットぴあの総合案内みたいな出張所机もあったので、多少のトラブルは直談判でなんとかなるのかもしれない。

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無事にスタンプが押された電子チケット

 

 

客層と臨場感

直前にインタビュー動画があがっていて、そこでは、毎回単に出し惜しみしないで全部出して、めちゃくちゃ楽しかったなって言ってもらえるのが一番、と語っていたが、本当に最高にめちゃくちゃ楽しかった。あっという間の2時間だった。

 

 


昨今の風潮的に言い方には気をつけたいが、会場の男女比率はもう、9.5対0.5ぐらいな感じで、周り見ても女性は20席に1人いるかどうかぐらいだった。わたし含め、おっさんが割と多めだったような気はする。正確な年齢層の比率はよくわからないけれど、まーでもとにかく男性支持の多さが伺えた。

 

 


そこで思い出すのは、かつて島田紳助さんが言っていたという(俺たちを甘やかしては去っていく目の前の若い女性ファンではなく)TVの向こうの20~35の男性を狙って笑かす―――という話で、もちろん佐久間さんがそれを意識して狙ってるわけではないだろうし、そもそも元テレ東の一人のおじさんディレクターにワーキャーなファンが付くはずもない(わざわざラジオ出待ちをした藤田ニコル母のようなコアなお笑いファンぐらいだろう)わけだが、自然とそれを体現しているんだなあと思ったりした。

そう、佐久間さんはお笑いAORなのだ。

 

 

 

上の島田紳助さんの話は、若い女性蔑視ということではまったくなく、単に価値観の細分化に伴い万人受けする笑いは必要なくなってくるから、誰をターゲットにするかが大事、という話だった。

そうなると学生とか価値観の変わりやすい層だけを相手にするのはリスク高いよ、という話だと解釈している。その点、おっさんは確かにいつまでもキン肉マンとかマトリックスとか好きだったりするし、よく言うと価値観が固まっており「信じられる」客層なのかもしれない。

※とは言え、無名時代に有象無象の中から引き上げてくれる初動のファンは、芸人にとってもちろん決定的にありがたい存在なはずなので、ワーキャーなファンが一律に悪いというわけではない。

 

 

 

ということで話を戻すと、5,000人の満席のホールAは圧巻だった。私はかなり前の方の席だったので、トークが客席側にフォーカスされた際に時折後ろ軽く振り向いてみたが、本当に大迫力だった。

お笑いライブ、特にトークライブは大抵数百人のキャパのところでやることが多く、数千人数万人クラスの会場は音楽と組合せるようなものが大抵な気がする。

そんな中、トークライブで5,000人はなかなか異例な気がする(私の経験ではオードリーANN武道館ぐらい)し、その規模の歓声や拍手や笑い声の臨場感は、やはり配信では味わえないもので、生のお笑いライブはいいなあと改めて思った。

 

 

私は通路に隣接した席だったので、警備係?の顔も見えたのだが、その警備係の方すらも客席を見ながら耳に入る佐久間さんのトークやコーナーでちょっと笑っていたのを見て、お笑いっていいもんだなあと思ったりした。

 

 

佐久間さんの魅力

佐久間さんは「この5,000人はラジオが繋げたんだよなあ、すげえなあ」「皆さん頭おかしいですよw」と繰り返し言っていたが、確かになぜ、私含め皆7,800円も払って佐久間さんのイベントに参加したのだろう。

 

 

 

私はそもそもそれほど熱心なゴッドタンファンではなく、毎週見始めたのもここ5年ぐらいと、それなりに最近だ(昔は尖ったネタが多くて私には少し難易度が高かった)。

佐久間宣行の名も当然それほど意識してはなかったが、きっかけはあちこちオードリーで、あの高クオリティトーク番組のPもゴッドタンの佐久間さんと聞いて、以来名前を意識するようになった。

それから試しに開始半年後ぐらいのANN0を聴いてみたところ、トークのクオリティが異常に高く、今回ミラクルボーイD松が、あのときANNイベントの場を制圧してたと説明していた通り、毎回かなり圧倒的な笑いの量で、以来毎週のリスナーになってしまった。

 

 

 

佐久間さんは、いつ終わってもおかしくないし、人生の思い出になるよう毎週悔いがないように準備する(トークを仕上げてくる)、というようなことを言っていたが、このクオリティのトークネタを毎週用意してくる若手がいたら、秒で天下を取れるだろう。

 

 

 

佐久間さんのトーク

佐久間さんのトークの何が面白いのか、何が5,000人(に加え配信チケットが同数以上)ものリスナーを東京国際フォーラムAに呼ぶほどの熱を持たせたのだろうとふと思った。

私が思うに、確かにトークの作家的構成力や、オチ前の独特の溜める間とか話術もあるんだけど、その本質にあるのは「面白がる能力」「面白さを見つける視点」ではなかろうか。

 

 

 

90年代の終わりに松ちゃんは突如坊主になり、ストイックに笑いを追求するというカリスマになった。その頃の松ちゃんに対して私が印象的だったのは、一見普通で笑うところのない特徴のないところや、笑いにするには難しいところにこそ「面白さを見つけて」具現化する、無から有を生む姿だった。

というのは幾分大げさな話だが、何を言いたいかというと、恐らく佐久間さんの周りに起きてる事柄というのは、我々の周りに起きていることと、きっとそれほど大きな差異はないのではなかろうかと思うのだ(もちろん私の周りにタレントや業界人はいないが)。

 

 

 

ではなぜ佐久間さんがこれほどまでにリスナーを惹きつけるのかというと、私たちが見過ごしている日常の中の面白さを見出し、かつそれのセンスがよく、そのうえそれをトークに昇華させる努力(メモとかきっと試し打ちとか)、それら全てが傑出しているからだろう。

 

 

 

佐久間さんは最後、イベントの〆トークとして亡父のエピソードを語り、父のユーモアセンスに静かに感動し、尊敬(と呆れも)したことを話していた。どんな悲惨な状況でもユーモアを忘れないこと。それは佐久間さんのバックボーンにもなっているということなのだろう。

 

 

 

それって私たちも意識してもいいのかもなーなんて思ったりして、2時間大いに笑わせてもらった上に、しみじみとした感動すら覚えたのだった。

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TV番組からは唯一、あちこちオードリーから。

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さらば東京国際フォーラムA



 

今後の期待

今後の展開として目指せ武道館という単語も出ていたが、正直今回の5,000枚のチケットのうち若干枚数はCloakでのリセールにも残っていたので、一旦は今のキャパがMAXなのかもしれない(実際はもっとradiko聴取率とかYoutube登録者数とか色んな指標を基に判断されるのだろうけど)。

し、大舞台は結果としてついてくるものであって、別に今からいきなり武道館満員へ向けて!みたいなのも違うというか、今すぐそこにこだわらなくてもいいかなーという気はしなくもない。ファンとして変にチケットが余ってると寂しいし、考えてみれば興行って結構難しいものだなと思ったりした。

 

 

 

ともあれ、今後の展開、直近だとネットフリックスのトークサバイバーはとても楽しみになった。お笑い芸人たちが、過酷過ぎてシーズン2なんて絶対ごめんだと言い合っている、なんて最高ではないか。

思えば衝撃の脱サラ以降、Youtubeチャンネル(お笑い知識ゼロ説明とか、ティモンディのやつとか、春日のやつとか、悪いな~と言いながら泣くほど笑った)、東京03とスタア、考えすぎちゃん、サクマ&ピース、とわずか半年で怒涛のコンテンツ攻勢で、どれも最高に笑わせてもらっている。

 

 

思えば、自分がターゲット層となるエンタメ、自分を楽しませてくれるエンタメがある状況は、実は当たり前のことではないのではないかという気が最近している。

ちょっとした世代の違い、価値観の違い、感性の違いで何が面白いのかは随分変わってくるし、自分がボリューム層であるともそれほど思えないし、そうなると面白いコンテンツというのは、存在するだけで&作ってもらえるだけでありがたいのかもしれない。

佐久間さんの作るコンテンツは、大抵はどう見ても万人受けを狙ったものではない。たまたま私はそれを面白いと思うものの、それって実は貴重なことなのではないか。コンテンツの多様性の海から、いつ私が放り投げられても不思議ではないわけで。

 

 

なので自分を楽しませてくれるクリエイターに感謝をしつつ、今後も元気に良質なエンタメコンテンツを作ってほしいなーと改めて思ったりなんかした。