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M-1 2021決勝 感想

今年のM-1もすごくいい大会で大変愉しませてもらいました。

以下、イチ視聴者の無責任で勝手な感想・備忘録です。悪しからず。今年は予選チケット当たらなかったこともあって、予選はほぼ見てません。

 

敗者復活戦

キュウ

 去年のM-1準決あたりから好きになってきたキュウ。今年はトップバッターを引いてしまった。2021キュウ、2020金属、2019カミナリ、2018ウエストランド、2017ランジャタイと、なんか毎年毎年好きな芸人ばっか敗者復活の出番トップになるんだよなあ。

 シュールな言葉遊びネタで面白かったが、結果は度外視。好きな人に響けばよいという感じ。あんまM-1向けのネタを作られても持ち味が失われそうで悩ましい。なので、このまま我が道を行くでいいのではなかろうか。

 案外結構ベテランで二人とももう35前後。それでいて結成が遅く2015年なので、もう10年ぐらい出れるし、ラストイヤーが45歳ぐらいまであるのか。

 単独行ってみたいが、ファンクラブ入ってないとチケット取れないのかなあ。

 

ヨネダ2000

 予選を沸かせていたコンビで、先日The Wで初めて見たが、今回見たやつの方がとても面白かった。あれ実はシステム漫才にしてるんだ?!・・・えっ、あれを?!的な。

 単調にならない発想力も展開も凄く良くて思わず投票してしまった。ネタ作ってる人かなりヤバい。でも案外敗者復活戦で結果伸びなかったのは不思議だ。私の感覚がズレているのだろう。まあ私にはハマったということで。

 あの動き無限ループ、ネタのあとすんごい疲れそう。かなりいい運動量になりそうで、もしやダイエットを兼ねてたりするのだろうか。

 

ヘンダーソン

 こちらも不勉強ながら初見だったが、コント漫才に食傷気味な昨今、入りと見せかけての自虐はとても良い仕組みだと思う。意表も突くし緩く笑わせてくれて、あれはずっと見てたい。一気に好きになってしまった。ヨネダ2000と甲乙つけがたく、思わず投票した。

 

金属バット

 我らが金属バット、去年はトップバッターの憂き目を見たが、今年はいい順番。そして寒空の中大丈夫か?というスリリングな早口言葉ネタを完璧にこなし、アドリブも決めて、本当に最高だったと思うのだが、ハライチの後塵を拝した。うーむ。

 金属バットって別に玄人ぶるわけではないが、いわゆるwriter's writerというか、芸人が好きな芸人という感じがする。金属バットの笑いが嫌いな芸人はいないのではなかろうか。なのに結果がついてこないのはなあ。東京ダイナマイトに似てるかも。

 友保さんのゴリッゴリの芸人界1キツい関西弁と、構えが好きなんだよなあ。構えと言えばハチミツ二郎さんや矢作さんに通じる気もする。あんま動じない系。

 てっきり今年がラストイヤーだと思ってたら、来年がラストイヤーなんですね。もう絶対決勝行ってほしい。頼む。

 

 

 

勝戦・最終決戦

モグライダー

 名前は知ってるのでネタ番組かライブで見たことあるかもしれないが、やっと顔認識できた。よいトップバッターだった。

 ネタの題材がいい。「さそり座の女」がなぜ「いいえ、私はさそり座の女」から始まるのか、という至極どうでもいい着眼点を、良いネタに展開させた。

 

ランジャタイ

 本当に最高だったな。ある意味大会MVPでは。

 呼ばれてから移動の間の小ボケとか(早く来い!)、暫定ボックスから退出する際のオール阪神巨人師匠のくだりとか。沸きに沸かせた。M-1史上最高の最下位だと思う。本当に。

 大舞台で視聴者に免疫がついたことで、国崎さん来年すごい愛されそうな気がする。ピュアな苦労人が見つかったら愛される未来しかない。

 松本さんの「見る側の体調次第」というのは今大会一番好きなコメントかも。

 

ゆにばーす

 題材も構成も面白くて、とても惜しかったように感じた。劇場で見る度に面白いのだが、どこかやっぱ優等生的な枠が見えてしまうのかなあ。確かに松本さんのコメント通り、もうひと展開、もうひと跳ねあればーという感じなのか。

 M-1を研究し過ぎた結果、スーパーマラドーナみたいになってしまっているのかもしれない。まあまだまだ年数残ってるから、何度も挑戦してほしい。ホント、もうちょっとで最終決戦な気はする。

 

ハライチ(敗者復活)

 個人的に敗者復活は金属バットだった。敗者復活戦のハライチのネタも面白かったけども(でも爆発音鳴ってたしなあというのもある)。

 で、決勝でまた別のネタをやったのは偉いと思った。が、そのネタはちょっと一辺倒な内容だった。岩井さんが感情爆発させるところまではよかったんだけど、そこからの大きな展開がないと難しいのかも。これなら敗者復活のネタの方が強かったのでは。

 ともあれラストイヤーおつかれさまでした。思えば2008以降の出場回7回連続準決行って、5回も決勝行ってるのだから大変な実力者という他ない(吉本以外だと最多らしい)。退出時はいつになく爽やかな岩井さんだったが、思えばハライチが世にでたのも完全にM-1(2009)のお陰だものな。思うところは多々あるでしょう。

 敗者復活結果発表のとき、金属友保さんの吉本ギャラ上げてくれ、を受けて、澤部さんが「ワタナベエンターテインメントさん、私は満足いく額を頂いております」というのは流石バラエティスターの風格を感じた。瞬発力。

 

真空ジェシカ

 ワードセンスあるし、面白かったんだけど、決勝レベルだとほんのちょっとだけ凡庸だったかも。人力舎は好きなのだが。でも、初の決勝はめでたいことで絵も割とシュッとしてるし、来年は地上波露出増えるのではなかろうか。

 

オズワルド

 見取り図がまさかの準決勝敗退となったことで優勝候補の筆頭だったが、優勝候補になると優勝できないジンクスが発動してしまった。一本目のネタは文句なしに本大会で最高のネタだったと思う。ダントツで。

 そうなると、単独のネタもいいのばっかりだったし、同クオリティのネタには困ってないはずで、普通にこれは優勝するのでは?と思ってたら、最終決戦の二本目が案外ハマりきらなかったような。面白いのだが接戦になってしまって結果、優勝を逃してしまった。これはまたメガネびいきで指導を仰いでもらいたい。

 しかしオズワルドはシステム漫才でもキャラ漫才でもコント漫才でもない、かなりストロングスタイルなしゃべくり漫才で(だから好きなのだが)、かつ発想力(ありがちな題材にしない)とその質が図抜けているので、何回決勝出てきても飽きられないというか、笑いの量が落ちない強さはあると思う。

 そもそも私がオズワルドを認識したのは2大会前、2019に初の決勝に行った年の準々決勝か準決勝で、ピッチング寿司マシーンのネタ。あれが予選会場でも爆発的にウケてて、あと入りのおぎやはぎっぽさもあって、一気に好きになって応援してたら、決勝がミルクボーイの次だったせいか全くハマらず、ややスベリで切なかった。

 来年こそ優勝してもらいたい。それと来年の単独も行きたいが、もうチケットは取れないかもしれないなあ。

 

ロングコートダディ

 真空ジェシカと同じぐらいだったかなあという印象。面白いし、全然滑ってないというか、むしろ4位なのだが、ちょっと決勝レベルにしてはちょっとだけ凡庸だったかなあと。いや、普通のコント漫才にちょっと飽きてるだけかも。

 元々コントの人でKOC決勝も行ってるし、という若干の色眼鏡はあるかも。申し訳ない。別に嫌いというわけではなく、一昨年だったか南海キャンディーズ寄席で見たときから面白いとは思ってた(ロッカーを派手に閉めるネタ)。まずはKOCからなのかなあ。

 

錦鯉

 ここまで636~638点の2点差間にモグラ、ゆにば、ハライチ、真空の4組がひしめいていて、接戦という見方もできるが、逆にちょっと爆発待ちだったのかなあと。そんな状況でオズワルドが爆発したあと、ロングコートダディを経てうまく爆発できた。

 でも序盤とか、雅紀さんの間や返しがちょっと怪しく感じて、ロード時間かかったり飛ばしたりしてないかなーと観てて心配になったが、細かい粗をねじ伏せるだけの強さのあるネタだった。バカは百難を隠す。

 最終決戦も同程度のクオリティのネタを披露。今年結構忙しかったし疲れも溜まりやすいお年だろうに、しっかり2本仕上げてきたのはすごい。ミルクボーイや、マヂラブのつり革並みの圧倒ではなかったが、僅差(だと思う)で優勝を勝ち取った。

 漫才王者としての風格だったり、キャラ漫才だしと、最終決戦の結果どうなるかなーと思ってたら5/7を獲得。塙さんと富澤さんの涙が印象的。やっぱ苦労人には弱い。人間だもの。ダメな人でもいいじゃない。結局は人徳よ。

 今後気になるのは二点。

 一点目はテレビ一周する過程で、絵的に映えないとか汚いとか、お笑いに敵対的で心ない人からの変なバッシングが起きないか(そんなものはシカトでいい)。

 二点目は、SMAの先輩あの小峠さんをして「隆は万能で何でもできるヤツ」とまで評された渡辺さんの有能さに光が当たるのか。ツッコミの感じとか、単発のANN0の感じとかからして、確かにかなりのポテンシャルは感じる。現在トップクラスのサブMC人材(小峠さん、アンガ田中さん、麒麟川島さん、陣内さん、ノブコブ吉村さん、パンサー向井さんとか、アメトーークの芸人ドラフト会議の上位に名前呼ばれるような人)に割って入れたりするのか。

 ともあれ、こんなの今年のM-1アナザーストーリーは期待せざるをえないでしょう。

 

インディアンス

 アンガ田中さんが、このところのお笑いを「ツッコミの時代」とどこかで評していたような。私が同感だが、そんな中、アンタッチャブルザキヤマさん系譜の「ボケで笑わせるタイプ」って今時稀有だと思う。少ないですよね。どうしても、ツッコミでなぞって笑わせるコンビの方が目立つと思う。おいこがとか、ぺこぱとか、ミルクボーイとかも。ウエストランドも見取り図も。

 それと手数。特に第一期M-1は後半になるにつれて手数勝負化してきた感がある(ノンスタ、ナイツを筆頭に)のだが、それがやや落ち着いてきた(手数より質への回帰。その極北はカミナリ)中、手数数がすごくて、なもんで単純な笑いの総量だと確かに優勝してもおかしくない。

 が、やっぱ手数勝負漫才ってあと一歩になってしまうのかなあとも。小笑いを積み重ねるだけだと、どこか腹に来ないというか。コンディション次第かもしれない。

 劇場で見る度に面白かったものの、なぜかM-1決勝だとちょっと上滑りな感じがしてた。が、今回はいい感じにハマった。視聴者の慣れや免疫で追いついてきたのかも。

 

もも

 初見の若いコンビ。まだ4年目だとか。初決勝進出時の霜降り・オズワルド・ホテイソンが5年目みたいなので、そりゃ確かにフレッシュ。

 ちょっとまだ硬さがあったかなーというのと、見た目いじり漫才はおっさん(私)にはちょっとそこまで響かなかったが、結果5位で大健闘だったのでは。初見のシステム漫才ということもあったのだろうか。

 若いニューカマーということで、来年全国地上波の露出が増えるのだろうけど、一方で第七世代ブームの終了と共に、若手は出にくかったりするのかもしれない。

 ネタ終了後の掛け合いでちょっとイキってたのが滑ってたし、悪い方向にいかないか、やや気になる。コウテイもそうだけど、もしかして大阪の若手って尖りブームが来てたりするのだろうか。東京に舐められるな的な。維新の会の影響だったりして。外れてるとよいが。

 

 

最後に

3年ぶりぐらいに、予選をほぼほぼ見ない決勝だったが面白かった。でもまた予選は見たいなあということで、M-1ファンクラブ入るか悩むが、フェイスブックアカウントを使うようなので、FB未登録の未としては敷居が高い(面倒)のだよなあ。

FBアカウント登録は転売防止のため?と思ったが、それなら電子チケットでスクリーンショット不可にすればいいだけだしなあ。

 

電子チケットと言えば、今年の準決勝から導入されてたが、それなりに効果あったのではないかと思う。転売がひどすぎるんですよね。

チケット流通で、準々決勝のある回の分が数えたら30枚ほど転売されてたので、ルミネtheよしもとのキャパが450席だから7%近くが転売?これはちょっとやっぱ対処してもらわないとなあと思ったりなんかした。

 

あと、佐久間さんの何かで見たが、最近はM-1決勝進出者全員が結構それなりに売れるという話。確かに以前は、決勝のうち優勝者とバカパク賞的な人しかそこまで売れず、翌年でも結構消えてる人も多かったかもなあという印象はある。何でかと思ったが、もう長いし感想の範囲を超えるのでまたの機会に。

 

 

 

余談が長くなりましたが、錦鯉優勝本当におめでとうございます!